児童向け交通安全ブザー「こえか」を開発 ~危険箇所での声かけにより児童の交通事故を削減~

掲載日:2023-10-27
研究

 

 

 金沢大学融合研究域融合科学系の藤生慎准教授,株式会社村田製作所の共同研究グループは,児童向け交通安全ブザー「こえか」を開発しました。

 近年社会問題の一つとなっている通学中の児童の交通事故は,効果的対策の早期導入が望まれています。「歩行中」の交通事故死者数は,小学校低学年では「通学など登下校」が多くなっており,小学生の登下校時における交通事故が問題となっています。交通事故から児童を守るため,家庭での言い聞かせの徹底や警察官の学校訪問による交通安全教育などが行われています。しかし,児童が交通安全に対する意識を常に高く持つことは困難です。また,登下校時の通学路に見守りボランティアが立ち,安全確保と注意喚起をする対策も講じられていますが,全児童の通学路の危険箇所を網羅できていないのが現状です。

 これらの課題を解決するため,今回金沢大学附属小学校の児童を対象にして,実証実験を実施しました。その結果,「こえか」を用いた一旦停止の注意喚起音声の有無によって,児童の一旦停止率が約 39%上昇しました。加えて,「こえか」は加速度センサによる行動検知機能を備え,実際に児童が一旦停止したかどうかを検知して保護者のスマートフォンに報告できます。この機能を活用すれば,家庭での交通安全の意識づけを適切なタイミングで行うことができます。さらに、この端末は GNSS(※1) を利用した測位機能を備えており,登録地点に到達したことを正確に検知できるため,大人の目が届かない場所でも自動的に注意喚起できます。

 この開発により,通学中児童の交通安全の注意喚起,児童の交通安全意識の定着,児童の交通安全行動に関するデータの蓄積による,新たな交通事故予防策への展開が期待されます。

 「こえか」は,2023年10 月 17 日~20 日に幕張メッセで開催されました CEATEC 2023 の株式会社村田製作所ブースに展示されました。

 

 

図1:児童向け交通安全ブザー「こえか」

 

    図2:見通しの悪い交差点や交通量の多い横断歩道など,保護者がスマートフォン上の専用アプリからあらかじめ設定しておいた危険箇所に近づいた際,児童が持つ小型専用端末から「左右を確認してから渡ってね」などの音声でアラートを発します。端末は GNSS を利用した測位機能を備えており登録地点に到達したことを正確に検知できるため,大人の目が届かない場所でも自動的に注意喚起できます。

     

     

    【用語解説】

    ※1:GNSS
     Global Navigation Satellite System の略。地球の上空を周回する人工衛星と通信することで地球上のどこにいるのかを正確に割り出す全球測位衛星システム。

     

     

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    研究者情報:藤生 慎

     

     

     

     

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